はじめに3

15年前。『姉のこと』
全壊後、姉が数時間埋まっていました。

二階にいた私は、ゆがんだ窓枠も開かず、なんとか工具を使い屋根から外に出ましたが、両親と姉がまだ埋まっていました。
しばらくして、両親もぺしゃんこになった家屋からなんとか出ましたが、足元はガラス片で怪我だらけでした。

姉は建物に挟まり身動きとれずにいました。

私は救急隊を呼ぼうと消防署まで、裸足で駆けました。
今では、当たり前になりましたが、『災害時は地域で助けあう』という視点。当時は緊急事態は消防隊、警察官を呼べばなんとかなると思ってました。
消防署に行くと、数十名がごったがえし。隊員は一人もおらず、紙切れが…。『こちらに住所と被害状況を書いてください』
私は住所等を記入して又姉の元に帰りました。消防隊は当然ながら、来ることはありませんでした。被害が大きかったので、当たり前ですね。手がまわらず、隊員自体も何十日と自宅に帰れない日々が続いた訳ですから…。
地域で助けあう大切さを感じたできごとでした。
数年後、消防署談で、『倒壊した地域においてはチェンソーの不足』がニュースで挙がりました。道具が揃わず、自衛隊含め、スコップでの手作業が中心となったとのこと。チェンソーがもっとあれば、救える命もあったと…。
それを聞いて、私は迷うことなく、ボーナスでチェンソーを購入しました。もし、チェンソーが人の命を救うことができるのであればと、防災道具の中に今も入っています。